不妊症

カップル全体の約10%は、2年間の通常の夫婦生活を営んでも子供に恵まれません。不妊症の原因は男女共にあり得ます。一般に女性側に原因がある場合が確率的に高いのですが、不妊症カップルの約半数で男性側にも何らかの異常が見つかります。

●不妊症は夫婦が直面する最も難しい問題で、それは喪失感や将来に対する不安感でもあり、それにも関わらずいくつかの重要な治療についての決断をくださねばなりません。大切なことは夫婦が一つになって冷静に問題に対処することで、お互いの非難に陥るのを避けることです。

●夫婦単位で見た不妊症原因では、30~40%は男女両方に原因があり、男性側になんらかの異常が見つかることが約40~50%、女性側に異常がみつかることが約60~75%、男女両方に見つかることが約30%~40%と言われています。
正常範囲でない場合でもそれが必ずしも不妊の原因となっているとは限らないと同時に、検査上は男女とも何の異常も認められない場合でも「現在、一般行われている検査では原因が突き止められなっかった」ということであり、「不妊症の原因が無い」ということにはなりません。

●不妊男性の約40%に精索静脈瘤(陰嚢内の怒張した静脈)が見つかり、男性不妊症の約1割に無精子症が見つかると考えられます。

●男性不妊の原因やその程度によっては、不妊治療の方針自体を大きく変更しなければならないこともしばしばあります。その時点で初めて今まで長期にわたり行ってきたことが『無効な治療』だったと判明する場合もあります。

よって、不妊症の検査では、なるべく早い段階に女性側だけでなく男性側も検査する必要性があります。

 

男性不妊外来

男性不妊症の原因は多数ありますが、簡単なスクリーニング的診察にて原因が特定できる場合があります。
「男性不妊症外来」の目的は、まず患者様が次のどの場合にあるのかを鑑別することにあります。
1.適切な治療によって回復でき、自然妊娠が可能になる場合。
2. 正常への回復は望めないが、ART(人工授精や体外受精などの補助生殖技術)によって妊娠が可能な場合。
3. 治療やARTによる妊娠が困難で、提供精子による人工授精や養子縁組等のオプションを必要とする場合。
4. 男性側の遺伝的な異常による場合適切な遺伝カウンセリングの応用が望まれる場合。

最も重要なことは、男性不妊症の陰に隠れる重大な疾患(精巣腫瘍や内科的疾患など)を発見し、速やかに検査や治療を行うことです。

女性側だけではなく男性側にも適切な診察を受けていただければ、不妊症の原因についての理解がより深まり、将来の治療を決めてゆくことが容易になります。

 

いつ男性不妊症外来を受診するべきか

結婚から2年以上たって妊娠が成立しない場合、男性側パートナーは、精液検査にて男性不妊症の有無を検査する必要があります。
しかしながら、この2年を満たさずとも、下記の場合には、すぐに診察を受けることをお考えいただくべきです。
1. 停留睾丸などの男性疾患が既に存在する場合。

2. 女性が35歳以上であるなどの、不妊の高リスク因子がある場合。

3. カップルのどちらかが、ご自身の妊孕力(妊娠できる・させる能力)に不安な場合。

4. 現在は未婚でも、ご自身の妊孕力を確かめたい場合(精液検査の希望)。

大切な事は、男性の生殖能力は生涯を通じて保たれる傾向にありますが、過去に女性を妊娠させた事実は現在の妊孕力を保証しないということです。

 

男性不妊症の有無を調べるには

最初にスクリーニング的な問診と診察が不妊症担当医師によって行われます。

A.問診内容:下記は、医師によって質問される可能性のある質問です。

1. ご夫婦間の性交渉の頻度

2. 避妊していなかった期間

3. 過去にご自身によって妊娠された方があったかどうか

4. 糖尿病や副鼻腔炎や呼吸器病などの内科的疾患があるかどうか

5. 内服薬やタバコ、アルコール習慣の有無

6. 勃起に異常はないかどうか

7. 生殖能力に影響するような環境因子(放射線、抗がん剤、化学物質等)に曝されたことはないかどうか

8. 小児期の手術歴(鼠径ヘルニアや停留睾丸など)や内科的疾患がないかどうか

B.精液検査
ご自身の精液中にある精子の濃度、運動率、形態などを調べる精液検査は、男性不妊症において最も重要な検査ですが、異常が見つかった場合には再検査によって確認する必要があります。

医師からの指示に従って検体を提出していただく必要がありますが、3~5日の禁欲期間の後に、検査をお受けいただくのが普通です。

検体をご家庭で採取される場合は、体温または室温に保ち、できれば2時間以内に検査室にお持込いただくことをお勧めします。

 

さらに診療や検査が必要な場合は

前記の問診や精液検査で異常が考えられる場合、男性不妊症の診断と治療に精通した泌尿器科医師による、さらに詳しい問診、診察および検査が薦められる場合があります。次の2次的検査が行われますが、これらの検査をすべてお受けいただく必要はありません。
1. 問診:既往歴、家族歴、感染歴などをさらに詳しくお尋ねします。

2. 泌尿器科医による診察:全身診察に加えて、陰茎、精巣上体、輸精管、精巣を入念に診察し、また、体毛の分布など、二次性徴を確認します。

3. 男性生殖機能の検査:
・血液検査:テストステロン値、FSH値が一般的
・射精後の尿検査:逆行性射精を疑う場合に尿中の精子濃度を検査します
・超音波検査:精巣の精査や、精液量が少なく輸精管等の閉塞を疑う場合の検査
・精子の生存および受精能検査を確認する検査
・精巣生検:精子形成の有無や精管の閉塞を確認する検査
・精路造影:輸精管等の閉塞部位を確認する検査
・遺伝的検査:精子形成に影響する染色体異常や遺伝子欠損の有無を調べる検査

これらの検査によっても不妊症を患う男性の20~30%には原因が特定できません。また遺伝的検査にて、子孫に伝達される可能性のある状態が発見される場合もあります。いずれにせよ、検査の意義と限界を正しくご理解いただき、将来に向けての最善の治療法を選択できるようにすることが大切です。

女性および男性不妊症の総合的診療を行う医療法人成育会ひらかたARTクリニックでは、無精子症患者さんに対するmicroTESE、MESAなどの手術を当院にて受け付けております。また精索静脈瘤など手術が必要な疾患には、連携がある畷生会病院(四条畷市)泌尿器科(増田裕部長)にて診療をお受けいただきます。

上記の内容についてのご質問、および男性不妊外来受診についてのお問い合わせは、ご遠慮なく当院までご連絡いただきますよう、お願い申し上げます。

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